為替レートの変動リスク

投機マネーから庶民を守るために作られた「ボルカールール」。この法律が市場を混乱させた。

為替レートの変動リスク

キャリー・トレードのリスクは以下の3つがあることは前述したとおりである。では最後に為替レートの変動リスクについて説明してみよう。

 

@流動性リスク
A群れ行動リスク
B為替レートの変動リスク

 

為替変動リスクは一番重要なリスクである。金利差分のバッファーを超えて、キャリー・トレードのロング為替が下落すれば損失となる。これがどの程度になるのかを計算式で見てみよう。バッファーは、高金利通貨の金利をR、低金利通貨の借入金利をrとし、運用期間をt、当初スポット為替S(O)、運用期間満了時点のスポットをS(t)、運用の大きさを借入通貨でUと表示する。

 

借入返済元利金:      (1+rt)・U
運用元利金:         (1+Rt)・U/S(O)
ネット(借入通貨ベース)   1+RtDU・S(t)/S(O)−(1+rt)・U

 

さて、キャリー・トレードの損益がプラスマイナスOであるというは4満期時点の為替レートS(t)が次の等式を満たす時である。S(B)とおく。これとスポットとの差、S(O)−S(B)は為替レートでのバッファーとなるのである。

 

S(O)−S(B)=(R−r)t/(1+Rt)・S(O)

 

このスポット為替での差分まで為替が下落しても、このキャリー・トレードは問題ないのである。右辺の式をバッファーと呼ぼう。リスク管理の理論から、外国為替1単位の信頼係数kでの為替のリスク量はka/tS(O)である(BOX−2参照)。ここで、削よスポット為替のリターンのボラティリティーである。このリスク量を使用すると、信頼係数kで、バッファーがこのリスク量と等しいときは、  (R−r)÷(1+Rt)・s(o)=k(T/ts(o)

 

これから導かれるkは、このキャリー・トレードの安心度を計量する指標となる。すなわち、kが高いほど、キャリー・トレードは安全度が高いのである。k=(R−r)/t/icr(l+Rt)例えば、t= 1年、R−r=3 %、a =0.1、(1+Rt)≒1として、kを計算すると、k = 0.3となる。信頼係数としての0.3は非常に低い、つまり、キャリー・トレードが損失となる確率も高いことを意味するのであるが、このkを、いくつもの通貨ペアと比較して選択するという点では意味がある。実際、キャリー・トレードが盛んに見られるようになった2002年10月末で、この数字をいくつかの通貨ペアで比較すると以下のようになる。ここでtは3ヵ月(= 0.25)とする。

 

この時点では、3ヵ月の投資期間で、この表の通貨ペアの中ではUSD/JPYのペアが一番リスクの低い。つまり安全なキャリー・トレードであった。次に、このkがどのように変化していったかを、AUD/JPYとGBP/JPYで見てみよう。

 

AUD/JPYについては、キャリー・トレードの安全度が時間とともに増大していることが分かる。 GBP/JPYでは2002年に安全度が高まったが、その後、少々下落した。しかし、2004年後半から2005年にかけて、再び安全度が高まっていることが分かる。次に、その他の通貨ペアのkの推移のグラフを示す。

 

もそれにしていくと収縮考える。例えば、1年の米ドル金利5%、円金利1%としよう。そしてスポット為替を1ドルno円とすると、1年後のスポット・レートは105.81円となる訳である。実際に、1年物のフォワード為替レートは、この水準で取引されるわけである。さもなければ、裁定が働いて、利益を市場リスクなしに稼得できることになる。

日経平均は10000円処で膠着感の強い相場展開が続きそうだ。米債務上限問題に対する懸念からドルが売られる地合いが続いており、為替市場での円高が上値を抑える要因となる。一方、介入警戒感から円高が加速するとも考えづらく、下を売り込む展開にも向かわないだろう。結局のところは、米債務上限引き上げ協議の進展を見守る、様子見ムードが強まりやすい。為替相場ではこれをうけドル売りが進行。ドル売りが急激なためクロス円を買い持ちしているFX投資家のポジションのロスカットが大量に出ている模様。